口述試験の体験談 どんな問題がでたのか?
こんばんはきさらぎです。必須科目と専門科目の論文試験が終わり、結果にある程度自信がある人は口述試験の勉強を開始しているころと思います。そこで本日は口述試験について書きたいと思います。
はじめに
口述試験は弁理士試験の最後の関門です。
名前の通り、試験官の出す問題に対して口頭で解答をする試験になります。
私ももちろん口述試験を通過して弁理士になりました。
口述試験はザ・プリンス パークタワー東京というホテルで行われます。
最寄り駅は赤羽橋です。東京でのみ実施されますので関西や東北の人も東京に出てこなくてはなりません。
口述試験は、論文試験に合格した選び抜かれた人のみが受験する試験なのであまり情報がありません。
そこで私が口述試験を受けたときの状況を詳細に説明したいと思います。
口述試験の実際の様子
ホテルのロビーに行くと弁理士試験の係の人が受付をしています。だいたいの人が受付時間よりかなり早い時間に到着するのでホテルのロビーは明らかに宿泊客ではない人がうろうろしています。
ホテル内にはカフェがありますがめちゃめちゃ高級店です。
たしかコーヒーが1000円以上します。
しかし私は落ち着いて最後まで勉強したかったのでカフェで勉強しました。
ホテルのロビーやカフェではゼミなどの友人や知り合いに会います。
ここで「論文受かったんだー」って発覚する人もよくいます。
試験前ですので、軽く会釈して立ち去りましょう。世間話などはしないほうがよいでしょう。
受付が開始されると受付をするために受験生が行列をつくります。
受付が済むとそれぞれ係の人の指示のもとエレベーターで客室に移動します。
そして待合室(客室)に入ります。待合室は下の図のような作りでした。
パイプ椅子に座り自分の番までここで待機します。
自分の番がくると係の人に呼ばれて廊下の椅子で待機させられます。
この時は、心臓がバクバクの状態になりました。
係の人が常に横にいて時間を管理しています。前の人が終わってしばらくすると係の人に部屋に入るように指示されます。
噂では部屋に入ってから時間がスタートするらしいので、走らないまでも急いで自分の席までいきました。部屋には試験官が2人います。結構距離があるので大きな声で話しましょう。試験の部屋は下の図のイメージです。
特許、実用新案→意匠→商標の順で客室を移動していきます。
時間は残り時間が〇分の時(何分だったかは忘れてしまった)にドアのチャイムを数回鳴らして知らせてくれます。時間がいっぱいになったらチャイムが連打されるらしいです。
口述試験の勉強法
やってはいけない勉強法
・重要でない条文の丸暗記
過去問にないような条文がまるまる聞かれることはないでしょう。
〇〇はどういった条文ですかと聞かれた場合も簡潔に答えたほうが時間の省略になります。
・マニアックな判例や審査基準
近年の傾向ではでません。
やるべき勉強
・口述アドバンスを購入
ほぼ全員もっていますし、最も重要です。必ず購入してください。
・口述アドバンスをつかって仲間と問題の出し合いをしましょう。
ゼミに入っていなくて友達がいない人は、口述対策の講座をとって、そこで勉強仲間をみつけます。
LEC善村先生の講座は、勉強仲間を見つけるのにはとても良いと思います。
・直前期は予備校の模試や口述対策講座に申し込みましょう。
この時期は合格が決まっているので、お金に糸目をつけないほうが良いでしょう。口述落ちで合格が1年遅れてしまうのはとても苦しいです。ちょっとでも試験官に近い人に問題を出してもらい。その場でのしのぎ方(わからない問題が出た時の対処や条文のひきかた)を練習しましょう。
・会派の口述練習会
弁理士クラブ
春秋会
PA会
同友会
などが口述練習会をやっています。価格も安いので参加しましょう。特に春秋会は、本試験の試験会場であるザ・プリンス パークタワー東京でかなり実際の試験に近い形でやってくれるので試験の時に緊張しないためにも絶対に参加しましょう。私も参加しましたが、本番さながらの緊張感で予行練習としては最高でした。
出題された問題とそのときの心境
実際に出題された問題をご紹介しようと思います。詳細な内容はLECが出版している口述アドバンスを参考にされたほうがベターと思います。私が実際に現場で考えたことや答えたかたが参考になればと思います。
特許法
男性2人の試験官でした。席につくとすぐに、「緊張しないで、落ち着いてこたえてくださいね」とやさしい言葉をかけていただきました。
とはいえパネル問題だとわかった瞬間に、緊張はマックスになりました。練習の時からパネル問題は苦手で、その場で考えて正しい答えを出せないことが多かったからです。たしかパネルには特許法の29条1項1~3号の条文が書かれていました。つまり新規性の問題について聞かれました。ちょっとつまづいたのは刊行物とはどういうもののことをいうか?という問題。基本中の基本ですが、頭が真っ白になっており、なかなか最初の言葉がでませんでした。しかし、20秒くらい奮闘した後に、ふと頭に降りてきました。
2枚目のパネル問題もありました。2枚目のパネルは甲と乙がでてきて甲が刊行物で公知した発明を出願した事例だったかと思います。5問くらい問題があったかとおもいますが、特につまることなく解答できたのを覚えています。特許法が時間内に終わったときは、本当にほっとしました。口述試験は特許(実案)、意匠、商標の3科目のうち2科目で不合格点をとってしまうと不合格ですので特許がダメだとリーチがかかってしまい精神的にも厳しい状態に陥ります。逆に特許法が合格となった場合、次の意匠も合格すれば口述試験をパスできますので合格へのリーチがかかることになります。ということで、本当にほっとしました。
意匠法
試験官がどんな人だったかはの全く覚えていません。意匠法も確かパネル問題でした。自動車のサイドミラー?(自動車そのものだったかも)の権利者とサイドミラーを製造販売するものの事案だったかと思います。部分意匠と部品の意匠などの効力の違いについてや、利用や間接侵害について聞かれました。答えに対して「それだけですか?」などと何度か聞かれながらも、正解をこたえられたようで笑顔で終了したのを記憶しています。意匠が時間内に終了した時もうれしかったですね。なんせ、合格が確定したことを意味しますから。ただし、なにがあるかわかりませんので商標も当然時間内にこたえきるぞという気持ちでいきました。
商標法
異議申し立てが指定商品ごとにできるかという問題だったと思います。そのあとに他に指定商品ごとにできる審判を聞かれました。その他に不使用取消審判の趣旨など聞かれました。
最後はパネル問題でした。パンの事例だったかと思います。最後の問題が終わると、主査が副査を見ていいですかねみたいな表情をして副査の方がいいでしょうといった反応をして終わりました。時間が余ると雑談などがある場合もあるようですが、わたしは一切ありませんでした。3科目が終了すると、係の方にそのまま帰っていいと言われホテルをでました。
まとめ
わかったこととして
・まず、条文は見ても全く問題ない。ただし時間のロスにはなるので注意が必要。
・趣旨は青本通り答えられなくても問題ない。少なくともひとこと趣旨で返しても大丈夫でした。
・最も怖いのは、頭が真っ白になり無言のまま時間が過ぎていくこと!こうなってしまうと試験官も助け舟をだすことができません。口述試験は最後までいかないとその前がいくらできていてもごうかくできません。
無言防止の練習はしておくべきです。例えば、近い条文をいうとか、趣旨問題であれば、国際調和のためとかそれっぽいことをこたえるのも一つの方法だと思います。
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