意匠法の語呂合わせ一覧(2条、3条、14条)
意匠法の語呂についてご紹介していきたいと思います。
目次
意匠法2条
法上の意匠についての語呂合わせ
法上の意匠とは何か説明できますか?
短答試験では、「意匠登録の対象について誤っているものはどれか。」のような問題が毎年出題されています。
こんな時に、役に立つ法上の意匠の定義についての語呂合わせを紹介します。
ぶつけしび
ぶつ 物品に係るものであること
け (物品の)形態であること
し 視覚できること
び 美感をおこさせるもの
有名すぎる語呂ですね。
実は意匠法の2条1項の意匠の定義そのものです。論文試験では条文集が貸与されるので覚えていなくても良いのですが、短答試験で法上の意匠について問われたら、このぶつけしびから答えを考えると良いかと思います。
※令和元年の意匠法改正で保護対象が拡充されています。画像、建築物は上記の例外になります。
意匠法における物品についての語呂合わせ
次は意匠法における物品を示した語呂合わせになります。
「意匠法上の物品は?」と聞かれたら
有体物のうち、市場で流通する動産をいう と答えます。審査基準にある記載です。
尚、商標法上の商品とは「商取引の目的たりうべきもの特に動産をいう」(青本2条の字句の解釈に記載)となっていますのでごっちゃにならないように注意が必要です。
しかし意匠法の物品の要件は、有体物のうち、市場で流通する動産と覚えているだけではすこし不十分です。
そこでもう少し詳細なチェックをできるのがゆてしとこになります。
ゆ 有体物であること(例 光は物品とはなりません)
て 定型性を有すること(例 液体は物品ではありません)
し 視覚によって認識できること(例 空気は物品ではありません)
と 取引性があること(靴下のかかとは物品ではありません)
こ 工業上利用できること (土地及びその定着物であるいわゆる不動産は、物品とは認められない)
部分意匠の要件 についての語呂合わせ
部分意匠は、意匠特有の制度で論文に頻出のテーマです。
さて、どのようなものが部分意匠になるのでしょうか?
「次のうち部分意匠として認められないものはどれか?」といった問題がでた場合、正確に答えられますか?
これを正確に解答するには部分意匠となるための要件を知る必要があります。
部分意匠の要件について審査基準に次のように記載があります。
71.1 部分意匠とは
部分意匠は、意匠法第2条第1項の規定により、物品の部分の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合であると定義される。具体的には、以下のとおりとなる。
(1)部分意匠の意匠に係る物品は、意匠法の対象とする物品と認められなければならない。(第2部「意匠登録の要件」第1章「工業上利用することができる意匠」21.1.1.1「物品と認められるものであること」参照)
(2)当該物品全体の形態の中で一定の範囲を占める部分である。
(3)当該物品において、他の意匠と対比する際に対比の対象となり得る部分である。
引用元:意匠審査基準
物品しめたい
と覚えましょう。
物品 意匠法の対象とする物品
しめ 一定の範囲を占める
たい 他の意匠と対比
意味がないタイプの語呂(リズム系語呂)になります。
尚、部分意匠の要件は条文に記載がなく審査基準にのみ記載されています。
法律の試験なのに、審査基準を問うような問題がでるのかい?
意匠法は条文数が少なく、特許法とかぶっている規定も多いので審査基準も範囲に入ります。
このため条文以外にも、審査基準を知らなくては解答できない問題が出題されますので注意しましょう。
意匠法3条1項( 部分意匠の類否判断 )
意匠法の論文試験では、審査基準の知識も問われることが多々あります。特に事例問題で部分意匠の類否判断を行うことは多く、多くの受験生が正確に記載してきますのでばっちり暗記する必要があります。
そこで本日の語呂です。
部分意匠の公知の意匠が類似するか否かの判断の方法について審査基準では以下のように記載されています。
部分意匠と公知の意匠とが以下のすべてに該当する場合、両意匠は類似する。
①部分意匠の意匠に係る物品と公知の意匠の意匠に係る物品とが同一又は類似であること
②部分意匠の意匠登録出願の「意匠登録を受けようとする部分」と公知の意匠における「意匠登録を受けようとする部分」に相当する箇所との用途及び機能が同一又は類似であること
③部分意匠の意匠登録出願の「意匠登録を受けようとする部分」と公知の意匠における「意匠登録を受けようとする部分」に相当する箇所との形態が同一又は類似であること
④部分意匠の意匠登録出願の「意匠登録を受けようとする部分」の当該物品全体の形態の中での位置、大きさ、範囲と公知の意匠における「意匠登録を受けようとする部分」に相当する箇所の当該物品全体の形態の中での位置、大きさ、範囲とが同一又は当該意匠の属する分野においてありふれた範囲内のものであること
引用元:意匠審査基準
仏教偉大半径
と覚えましょう。
仏 物品
教 きのう、ようと
偉大半 位置、大きさ、範囲
径 形態
自作の語呂になりますが、なかなかの出来だとおもいませんか?
意匠法14条( 秘密意匠を開示できる場合 )
秘密意匠について
秘密意匠は、4法の中でも意匠特有の制度なので試験では狙われがちです。
意匠権は様々な人の事業に影響を及ぼし得る独占排他権です。このため原則的には、出願された意匠は審査を経て登録後、意匠公報が発行されて公開されます。
しかし所定の事項を記載した書面を出願と同時又は一年分の登録料の納付時に特許庁長官に提出したときは例外的に意匠が公開されないようにすることができます(14条2項)。
これが秘密意匠制度です。秘密意匠がなぜ認められているかというと
①将来実施する予定だけどまだ実施しない場合でも先願主義のため出願しておかないと登録を受けられません。しかしその意匠が登録され公開されると将来のデザインの傾向を他社に知られてしまってその意匠を転用したような意匠が出願される恐れがあります。
②さらに意匠は技術の上に技術を積み重ねるという構成をとる特許法とは異なるので、公開しないことによる弊害は少ないので認められているのです。
秘密意匠の例外
上述したように秘密意匠は、公開されないわけですがまたこれにも例外があります。
それが14条4項の規定です。
意匠法14条4項
特許庁長官は、次の各号の一に該当するときは、第一項の規定により秘密にすることを請求した意匠を意匠権者以外の者に示さなければならない。
一 意匠権者の承諾を得たとき。
二 その意匠又はその意匠と同一若しくは類似の意匠に関する審査、審判、再審又は訴訟の当事者又は参加人から請求があつたとき。
三 裁判所から請求があつたとき。
四 利害関係人が意匠権者の氏名又は名称及び登録番号を記載した書面その他経済産業省令で定める書面を特許庁長官に提出して請求したとき。
引用元:意匠法第 14条4項
秘密意匠を例外的に開示できる場面です。
例えばAさんが意匠を創作して意匠登録出願をしました。Bさんの意匠(秘密意匠)の後願として拒絶理由通知を受けました。こんな時Aさんは開示請求ができます(2号)。
上記は2号の例ですが1号から4号まであり、なかなか覚えにくいですね!
秘密意匠を開示できる場合の語呂
「斎藤さん勝利」裁判所、当事者 、参加人、承諾、利害関係人
裁判所
三 裁判所から請求があつたとき。
当事者参加人
二 その意匠又はその意匠と同一若しくは類似の意匠に関する審査、審判、再審又は訴訟の当事者又は参加人から請求があつたとき。
承諾
一 意匠権者の承諾を得たとき。
利害関係人
四 利害関係人が意匠権者の氏名又は名称及び登録番号を記載した書面その他経済産業省令で定める書面を特許庁長官に提出して請求したとき。
と覚えましょう。順番は条文の号並びの通りになっていませんが一応すべてを網羅しています。短答試験では大活躍してくれます。
来年の試験のために独学を考えている方は まずは過去問と青本の購入をおすすめします。
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