三者三様?答案構成って何を書けばよいのか? 論文試験の答案構成について

2023年5月5日

勉強する女子高生

こんばんはきさらぎです。本日は論文試験の答案構成について受験時代に感じていたことと戦略をご紹介します。

弁理士試験の論文を書いたことがない方
答案構成に何を書いたら良いかわからない方
時間が足りなくなってしまう方
こんな方々は参考にしていただけたら幸いです。

答案構成とはなんなのか?

弁理士試験の論文試験を受けたことがない方は知らないことかもしれませんが、論文試験でいきなり答案用紙に解答を書く人はいません。ほとんどの人は、最初に問題冊子の白紙のページに、問題設定の時系列答案として書きたい条文その順番を整理します。
これを受験界では答案構成と言います。

答案構成を書く理由

さて、弁理士試験の論文では、答案構成をしてから答案を作成することがわかりました。
でも、答案構成を作らなくてはいけない決まりなんてないのに、なぜ答案構成から検討しなくてはならないのでしょうか?多くの受験生が答案構成をするのは以下の理由からだと思います。

誤記を減らすため

まず大前提として、答案用紙に使用できるのはボールペンや万年筆なので一度書いたら消すことができません。最近販売されるようになったフリクションボールペンの使用も禁止されています。

 え、弁理士の論文試験では間違って書いたことは、一切直せないんすか?

二重線で消して、上のスペースに正しい文章を書くことで修正できるよ。

確かに二重線で修正はできますが、スペースの問題で限界があります。何行も二重線で消して修正している答案は美しくなく、採点官の心象も悪いでしょう。
何の準備もしないで答案を作成し、間違ったことを長々書いてしまったら後戻りすることはできません。

私は答案構成をしていましたが、それでも間違ったことを永遠と書いて試験時間終了間際に青ざめた経験が何度もあります。答案構成の段階で間違いがないかよく確認しましょう!

時系列を整理して解答するため

かつては1行問題が主流でしたが近年の問題のほとんどが事例問題です。特許制度は先願主義ということもあってどんな事例でも公知になった時点や出願や実施の時系列が重要なポイントになってきます。様々な登場人物が出てきますし、発明や権利も複数出てきます。これを頭の中で整理してそのまま答案用紙に落とし込むのは不可能です。このため答案構成として時系列を整理するのです。

論述の順番を整理してから回答するため

実際の減点対象になるかわかりませんが、一般的には論述する順番は重要なことから説明するほうが良いでしょう?例えば、拒絶理由通知が来た時の対応でいくつか措置がある中で、一番最初に「放置する」といった対応を書くと心象はよくありません。これは極端な例ですが、一度答案構成で論述する順番を検討しておくことでこういった心象ダウンを避けることができます。さらには、2つの措置を1つの分章でまとめて書いたりして時間を省略できるメリットもあります。

答案構成の書き方

答案構成用紙は提出しないためどんなに文章が稚拙でも字が汚くても極端なことを言ってしまうと白紙でも、答案用紙さえきちんと書けていれば合格することができます。
よく答案構成舞台裏答案用紙舞台そのもの といわれます。
つまり、舞台裏がどんなに散らかっていても(汚い字でめちゃくちゃなものでも)、舞台さえ素晴らしければ、客(採点者)は満足してくれます。
つまり答案構成は型にはめて綺麗に作る必要はないのです。私自身、自分の答案構成のやり方が正しいのか不安になって「答案構成はどのように書いたらいいんですか?」と質問したことがあります。
先生の回答は、「自分で分かるように書けばいいんだよ」というものでした。確かにそうなんです(バカのこと聞いてすいません。。。)。

自分がわかるように書けばよいと言いますが、弁理士試験では「答案構成の時点で合否は決まっている」という先生もいるくらい答案構成は重要な作業です。正直受験生時代やり方を指定してくれたほうがやりやすいんだけどなぁって思っていました。
私は論文ゼミに入っていたので、人の答案構成用紙を見せてもらうこともありました。他人の答案用紙は、答練やゼミで参考答案として配布されるので見る機会がありますが答案構成を見る機会はまずありません。勇気を出して見せてもらう交渉をしましょう。他人の方法も参考にしながら試験までに自分のスタイルを模索していくと良いでしょう。

答案構成の3類型

答案構成のやり方は大きく分けて以下の3パターンです。

条文番号、論点(キーワード)だけを書くタイプ

例えば、 設問1 文献Aで29条1項 49条1号  
といった感じです。

メリット  
答案構成に使う時間を短縮できるので時間に余裕ができる。 
極めれば、一瞬で文章をうまく作れるようになるかも。
デメリット 
解答時に頭の中で文章を作る必要があるため、文章作成能力が必要。       
解答時にどのように書くか悩んでしまうとタイムロスしてしまい、未完成答案になるリスクがある。       答案構成終了(解答開始)から解答終了までの時間予想が立ちにくい。

全文書きタイプ

答案構成用紙に答案用紙並みに文章で全文を書いていく方法です。
設問1 甲は〇〇だから△△を主張できる。
といった感じで答案構成用紙に猛スピードで書いていきます。

メリット  
解答時には答案構成の内容をほぼ丸写しするので、時間の予想が立ちやすい。
解答の途中でどう論述するかを悩むことがない。
デメリット 
解答とほぼ同じことを答案構成用紙に書くので時間ロスが多い。

主語、条文番号、論点(キーワード)を簡易的につなげるタイプ

上の2つの中間的な方法です。

メリット  
解答に要する時間の予想も立ちやすく、論述で迷うことも少ない。
デメリット 
全文書きになりがちなので、答案構成で省略できる部分を経験的にわかっている必要がある。

私は、文章力がなく①は初めから向いていないことが分かっていたので、②から入って徐々に③にしていきました。

つまり答練などで自分はどの程度のメモ(答案構成)があれば解答がスムーズに書けるというところを把握するのです。また、時間を省略するために手続きの省略語を自分で決めていました。
出願は「出」、登録は「ト」、無効審判請求は「ム」、国内優先権は「41」
などと書いていました。

答案構成の時間配分

上でも説明しましたが解答してからでは取り返しがつかない場合が多いです。答案構成の段階で見直しや説明が足りない部分がないかを確認しましょう。理想としては答案構成は時間を省略しつつも、じっくりと検討するのが良いでしょう。
しかし一方で、時間をかけてどんなにりっぱな答案構成をつくっても答案用紙が完成していなければ合格点を得ることができません。このバランスが難しいのです。答案構成に時間を使いすぎて、未完成答案になってしまったという失敗談はよく聞きます。

わかっているんだけど、問題に集中していると熱くなってしまってつい答案構成に多くの時間を使っちゃうんだよなー。

その気持ち、すごくわかります。でもそれでは術にハマっていますよ!必ずデッドラインを設けてその時間を過ぎたら機械的に答案用紙作成に移ってください。


私の場合デッドラインは特実で答案構成30分、解答30分、意匠商標では40分、解答50分くらいでした。これは筆力にもよるのであくまでも私の例です。私の場合は、まわりの人に比べると少し答案構成の時間が長めだと思います。私の場合、記載量も最小限に抑える戦略をとっていたので、答案用紙作成の時間が短くてもよかったのでしょう。
自分に合った答案構成方法やデッドラインを見つけて、最高の解答用紙を作成しましょう。

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まとめ

答案構成について

 論文試験では十分に答案構成をしてから答案を作成する。

 答案構成することで誤記を減らし、時系列や論じる順番を整理できる。

 答案構成は舞台裏なので自分さえわかればどんな書き方でもよい。

 答案構成の方法は3種類あるので自分に合った方法を模索する。

 答案構成では省略記号などを使用して時間を節約する。

 答案構成のデッドラインを設けておくことが効果的

小ワザ

Posted by kisaragia