企業の開発職と事務所勤務弁理士どちらがよいか考えてみた。

2022年1月29日

企業の開発職と事務所勤務弁理士どちらがよいか考えてみた。

この記事を書こうと思った理由

私の知り合いでも、開発の仕事から(特許事務所勤務の)弁理士になった方が大勢います。弁理士試験に合格してからその世界に足を踏み入れる人もいれば、足を踏み入れてから弁理士試験に挑戦する人もいます。
逆に弁理士から開発の仕事になったケースは聞いたことがありません。
私自身も、弁理士試験合格後に特許事務所に就職することも考えましたがいまだに行動に移せていません。
ということもあって一度どんな違いがあるのか整理してみたいと思ったのです。

開発職と弁理士の違い

仕事内容が違う

開発職と弁理士はそもそも仕事内容が全然違います。
開発職の業務範囲は幅広く、時間のスケールが長いです。
市場調査→企画→実験→トライアンドエラー→量産化
途中で様々な人々と関わり、協力して進んでいかなくてはなりません。
扱う製品やサービスによると思いますが、私の場合は企画から製品化までで少なくとも100人くらいの人が関わると思います。
かかわる人物も多様で、社外の方だとお客様、材料メーカー、外注業者など社内であればマーケティング営業、工場、品管などです。
一方で弁理士の仕事は、クライアントとの間で完結することが多いと思います。開発者から見ると上述した企画~製品化の長い道のりにかかわる人々の1人になります。時間的スケールも短いです。但し弁理士は1社だけでなく、様々な開発案件、様々な会社と行うことになります。

開発者の仕事と弁理士の仕事

弁理士の先生は、まさに専門家で上の図の赤い矢印に該当する「打合せ→明細書作成」の業務をいかにスピーディーに正確にたくさんこなすかが成果になってきます。開発者は仕事をしながら景色がどんどん変わっていくのに対して、弁理士は同じ景色で仕事をするイメージです。
しかし見方を変えてみれば、開発者は1つの開発製品を何年もやり続けなくてはなりません。うまくいかないときも他人にケチをつけられても長年やり続けることになります。一方で弁理士の先生は1つの製品に縛られることなく次々に違う製品の明細書を作成することになるのでそういう意味ではいろいろなものを見れるともいえます。

組織構成が違う

開発者は会社員ですので、ピラミッド組織の中で動いています。

工場

上司がいて、もっと上の上司がいて、それぞれ指示や連絡を受けて動きます。上司にパワハラな人がいたりすると直接被害を受けますし、人によっては年下の上司の指示で動かなくてはならないことも多々あります。また基本チームで動きますのでメンバーと馬が合わなかったり、メンバーに足を引っ張られたりすることがあります。逆にメンバーに助けられたり、病気になっても代わりの人が担当し案件は止まらず進んでいきます。
特許事務所は、年功序列のところも結構あると聞きますが基本1人1人がそれぞれの案件を担当しているので会社員に比べると並列につながっていると思います。自分の案件を責任をもってやっていれば成立することが多いのではないでしょうか。しかしながら1人の大変さも多いのではないでしょうか。メンバーに助けてもらったり得意な部分を分担したりすることは難しい気がします。

給料

開発の給料は企業の給料体系によってくるので上場企業であれば四季報などで簡単に調べられます。企業によって大きな違いがあります。メーカーであっても給料の良い企業(基本的に大企業になります)であればかなり裕福な生活ができるでしょう。逆にそもそもの給料体系の低い会社では、役職がついてもたかがしれていると思います。どんなに頑張っても入社した会社でほとんど決まってしまうのです。
だったら転職すればいいやんって思うかもしれませんが、開発職が転職するのは結構難しいことだと思います。開発といってもその中で無数の技術分野があって、これが違うとほとんど役にたたないからです。また社内外の多くの人を動かす仕事なので転職して違う会社の人々を動かすことはよほどリーダーシップが取れるひと以外難しいでしょう。
弁理士の給料についてははっきり言ってわかりません。知り合いの弁理士にも給料については、デリケートな部分なので具体的に聞いたことがありません。青天井で案件の処理件数次第ではかなり高額が目指せると聞いたことがありますし逆に処理する仕事に限りがあって、やりたくてもやる仕事がないという話を聞いたこともあります。

勤務地

勤務地に関しては、完全に弁理士に軍配があると思います。弁理士の勤務地は虎ノ門や丸の内といった大都会になります。アフターファイブを楽しんだり朝活したりアーバンライフを過ごすことができます。
開発職の場合は研究所や工場勤務になるので郊外の工業地帯になります。また車通勤で仕事場~自宅の繰り返しになる可能性が高いです。この点が大企業に就職する場合のネックになります。

まとめ

最初から分かっていましたが、どちらも良いところ悪いところがありどちらが良いといった結論はでません。どちらが自分に合っているかの問題になると思いますが、皆さんはいかがでしょうか。

調査

Posted by kisaragia