令和4年の弁理士試験

2023年5月5日

弁理士試験は、以下の流れで複数回試験を受けてようやく合格を手にすることができます。
 ①短答式試験
 ②論文式試験(必須科目)
 ③論文式試験(選択科目)
 ④口述式試験
試験の日程は短答試験が5月、論文試験が7月、口述試験が10月です。
令和2年と3年の試験はコロナウィルスの影響で、例年に比べて後ろ倒しになっていましたが、本年(令和4年)は元通りの日程になっています。

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特許庁は毎年弁理士試験の統計を公表しています。
この統計には試験の受験者数、合格者数が年代、性別、居住地、出身大学ごとに集計されています。
つまりこの統計を分析することでどのような人がこの試験を受けていて、どのような人が試験に受かっているのかを知ることができます。
次のような方々は、参考にすると良いと思います。
弁理士試験受験を考えている方
弁理士を受けたいけど受かるか心配な方
すでに弁理士試験を受けていてなかなか受からない受験生

志願者について

令和4年の志願者は 3558名 でした。
近年の志願者の推移は次の通りです。

 R1 3858名→ R2 3387名 → R3 3859名 → R4 3558名

昨年令和3年は志願者が増加しましたが、令和4年の志願者は再び減ってしまいました。
ただし志願者数が最も少なかった令和2年のよりは多かったようです。

短答試験の統計の分析

短答式試験の受験者数

令和4年の短答試験受験者数は2,754名でした。
短答試験受験者数自体は昨年(2,686名)よりも増加しています。

 昨年のほうが志願者数が多かったはずなのに短答受験者は今年のほうが多いんですね。なんでですか?

 昨年短答試験免除者は大勢いたのでしょう。志願者から短答受験者を引くと短答の免除者が計算できるので調べてみます。


令和3年の短答免除者数=志願者3859-短答受験者2686=1173名
令和4年の短答免除者数=志願者3558-短答受験者2754=804名

短答免除者は昨年のほうが370名くらい多いですね。

短答式試験の合格率

令和4年の短答試験の合格者数は284名でした。
合格率は10.3%でした。この数字はなかなか厳しい数字ですね。ちなみに昨年は11.3%だったので昨年よりちょっと難しかったことになります。令和2年の合格率は18.2%、令和3年の合格率は18.3%ですのでここ2年は短答合格者が少なくなったようです。おそらく問題を難しくして合格者を絞っているのでしょう。
過去は30%くらい合格できていた時代がありましたが最近は弁理士試験の登竜門が狭き門になっているのです。

大学別の合格率について

試験の統計には、受験者数と合格者数が記載されていますが、合格率は記載されていません。
そこで令和3年の大学別の短答式試験の合格率ランキングを作成しました。

大学別合格率

※受験者数が30名以上の大学に絞ってランキングを作成しています。

受験者数
令和4年も受験者が多いのは東大、京大、大阪大学です。
今年は私立大学の早稲田大学と、東京理科大学も多かったようです。

合格者数
合格者の数は、東大、京大、東工大が上位を占めています。

合格率
令和4年の短答試験で一番合格率が高かったのは神戸大学で26.2%でした。
全体での論文試験の合格率が10.3%なのでこれを2倍以上、上回っています。
続くのは慶應義塾大学、東京大学、東工大です。

論文試験ついて

論文試験受験者

短答に合格した受験生は論文試験を受けることができます。
また短答免除の受験生も論文試験を受けることができます。
つまり令和4年の短答免除者数804名 +  短答試験合格者284名の 合計1088名
さて論文試験は7月3日(日曜日)です。
例年通りだと合格者は250名程度でしょうか?
私は、この論文試験になかなか受からずに非常に苦労しました。

論文試験後の過ごし方

論文試験を受け終わった後、次は口述試験ですが試験日は10月なので時間がかなり空いています。
選択科目がある方は選択科目の論文試験が終わった後(例年は必須論文試験の2から3週間後)から夏休みに入ります。
論文式筆記試験 はその名の通り筆記試験なので試験委員会の人が手作業で採点します。このため合格発表までも時間が空いています。
ゼミに所属している受験生はゼミの先生に再現答案を提出します。
先生はプロなので、合格しているかどうかを検討してくれます。
しかし客観的に項目が書けていたかどうかで判断するので毎年絶対受かると思っていた受験生が落ちたり、まず受からないと思っていた初学者が合格したりします。
この時期は受験生にとっては非常にもやもやする時期です。
論文試験の出来がいまいちだった場合は、不安で口述試験の勉強も手につかないと思います。万が一落ちてしまった場合を考えて次の年の論文試験を勉強を開始する人もいます。
論文試験の出来が良かった人は当然口述試験の勉強に入ると思いますが、すこし休息をとる人が多いかと思います。

口述試験は合格率が90%を超えており、落とす試験ではありません。しかし毎年落ちてしまう受験生が必ずいます。口述試験に一発で受かった方は、「口述試験は余裕」「勉強する必要はない」というでしょう。
しかし、緊張で頭が真っ白になってしまうことがマジであります。

緊張する女の子

特にシャイな方や緊張しやすい方、説明が苦手な方は十分な準備をしたほうがよいでしょう。
緊張するしないは、個人差があります。結婚式のスピーチなどでも緊張して何をしゃべっているのかわからなくなる人がいますよね。不得意な人は他の人の何倍も練習をするしかないのです。
会場もザ・プリンス パークタワー東京というやたら豪華なホテルですのでなおさらですね。
口述試験の難しいところは一人では練習しにくいことです。私も受験時代受験には仲間で区民会館のようなところに集まって口述の練習をしました。
独学で勉強してきた人やゼミに友達ができなかった人は予備校の口述試験用の講座を受講して仲間を作りましょう。


調査

Posted by kisaragia