モノづくり系エンジニアの仕事とは? 学生時代と現実の乖離

大学や大学院も卒業が近くなってくると進路について真剣に考えるようになってきます。
当時(10年以上前ですが)私もそんな状況でした。
ただ私が考えていたことは今思えば浅はかで、結果的に現実との乖離がありました。
情報収集が甘かったし、よくわかっていなかったと反省すべき点が多くあります。

 想像と現実は違った。。。

そこで学生時代に思っていたことと、10年以上企業のモノづくり系エンジニアとして働いてみて今思っていることの乖離をまとめてみました。
就職を考えている学生
転職を考えている人
その他モノづくり系エンジニアの仕事を知りたい人
は最後まで読んでいただけると嬉しいです。

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就職先なんて大して重要でないと思っていた。

大きな会社と小さな会社どっちがよいの?

私がした一番大きな勘違いです。
私は学生時代、小さな会社でも実力があって成果をあげさえすれば、給料は高くなるものだと持っていました。これは次にあげる理由から大きな勘違いでした。

(1)実際は小さな会社の方が、成果を上げにくい
 小さな会社の方が、扱っている製品のスケールが小さいから成果が上げやすいと思っていました。
しかし小さな会社は保有している設備が少ないので、やれることの範囲が少ないです。極端なことを言えばその装置で作れるものしか開発できません。持っていない装置については外注業者に依頼することもできますが、小さな会社はそういった支出にも積極的ではない場合が多いです。
また保有している装置があっても古くて更新されていなかったり、規模が大手のものより小さく競争力がない場合が多いです。

 大手のB社さんの方が、安いのでそちらを採用することになりました。

 そ、そんな。。。

設備が小規模だとコスト勝負に負けてしまうことも多々あります。

(2) 小さな会社の方が昇給額は小さい。
 小さな会社でも大きな会社でも就職サイトに書かれた初任給(月給)は大して変わりません。当時の私は入社後の頑張り次第では大企業以上の給料を稼げると思っていました。今思えば当然ですが、昇給は一年に1回で昇給額の幅は決まっています。どんなに成果を上げてもその額以上は昇給しません。
しかも昇給額は大企業の方が圧倒的に多いのです。
初任給の額がほぼ同じでも、10年後はとんでもなく給料に差が開きます。

 (学生時代の友達)ひさしぶりだな。何の仕事してんの?俺は大手商社で去年、年収1000万円超えたよ。お前は?

 え、ちょちょっと言えないです。お金の話はやめようぜ。


(3) 小さな会社の方が賞与(ボーナス)が少ない。
 大企業で儲かっている会社はボーナスも6か月分出ます。小さな会社だとボーナスが1か月しか出ないこともあります。これについては当時からわかっていましたが、今となってみればこの違いの大きさが身に染みています。

理系卒は研究開発職になるという固定概念

理系の大学で、研究室に所属して毎日遅くまで実験しているとそれだけが正解かのように思えてきます。

 文系と違って、大学時代からこんなに苦労しているんだから研究開発の仕事につかないと割が合わないわ

こんなことを思うようになってきます。
しかし研究開発の仕事は、就活でも激戦ですし勤務地は結構田舎になる場合が多いです。場所も考慮しだすと選択の幅が狭くなってしまうのです。そして小さな会社が選択に入ってきます。
しかし世界を俯瞰で見てみると、研究開発の仕事をしている人の数は多くありません。
また商社、銀行、証券会社、不動産などいわゆる実験系の開発職を取らない企業もたくさんあります。
当時は世間知らずだったこともあって営業職はノルマがあってオフィスにグラフが貼られていて成績が悪いと怒鳴り散らされるというイメージがあって営業職にはなりたくないと思っていました。

ノルマを背負ったサラリーマン

業界によってはこういった環境もあるのかもしれませんが全然間違ったイメージです。
今思えば営業もいろいろで、開発製品を売るための戦略を立てたりすることもありますし、お客様の問題を研究開発職と一緒に解決する面白い仕事もだと思います。

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開発の仕事についての乖離

 開発の仕事ってどんなことをするの?


開発の仕事自体は、学生時代に想像していたものとほとんど違いがありませんでした。
以下のようなものです。
(1)材料サンプルを集めて実験をする。
企業の開発の仕事は基本的に新しい機能があって競争力があるものを作ります。
現在製品として流れているものを、お客様の要望や課題に対応して改良する場合が多くあります。
そのためには、新しい材料を探します。材料メーカーは様々な機能や特徴を持った材料を製造販売しています。
こういった材料を常に調査しながら、良いものがあれば問い合わせをして説明を聞きます。その後使用できそうなものであれば、サンプルをもらって評価をします。サンプルは大抵の場合、無償で提供してもらえます。
ラボレベルの小スケールの評価から、試作機、量産機と徐々にスケールアップしていきます。スケールが大きくなるにつれて費用も多くかかります。
社内にない装置で加工する必要があれば、その装置を持っていて委託できる会社を探します。打ち合わせをしてどういったスペックの装置か?今回の製品を試作できそうか?日程やテストした場合の見積を詰めていきます。
また社内の装置を使う場合でも、量産機で確認する場合は、工場の生産を止めて確認する必要があります。これは結構ハードルが高くて苦労します。装置を汚染しない証拠データーを提出しますし、初めて扱う製品の場合、取り扱い方法や注意点を指示しなくてはなりません。

(2)製品や試作品をお客様に説明する。
営業に同行して、製品の説明をします。
よくドラマで見るような派手なプレゼンではなく、淡々と製品の特長を説明します。
お客様が興味を持ってくれたら、製品をサンプルとして提出して評価してもらいます。サンプル提出後しばらくして、お客様から評価結果を聞くことができる場合もあります。ディスカッションをして、何がダメだったのか?改善ができないか?について明らかにします。

 弾性率がもっと高くないと、この製品には採用できません。

 承知しました。来月までに改良品を提出させてください。

お客様から改善を求められた場合、改良品の設計や作製をします。すぐには対応できない場合でも、儲かりそうな案件では時間をかけて改良します。

(3)その他サラリーマン的な雑務
報告書や計画の資料を作る、契約書の確認、実験設備の清掃、メンテナンスなど雑務も多くあります。
意外とこれらの仕事に時間がとられます。

(4)アカデミックな研究者とは何が違うのか
開発者の仕事の目的は、何かを明らかにすることではありません。興味があるものを作ってみることでもありません。現実的な設備で作れて市場で売れるものを設計することです。当然それを実現するために、何かを明らかにする必要もありますし、とりあえず作ってみることもあります。
しかし結局のところ、ラボでは作れるけど、工場で作れないもの、市場で売れないものはターゲットではありません。
どんなものが工場で作れるのか?というところは、比較的チェックしやすいと思います。工場には設備があって過去にどんなもの作製してきたのかの記録があるはずなので調べることができます。
また過去にやった事のない製品でも装置のスペックが明らかなわけですから、そのスペックから割り出すことができます。
一方で市場で売れるものを探すのは非常に苦労します。様々なものが世の中にありふれているこの時代にニーズを探すのは至難の業なのです。

(5)残業はあるのか?
残業については、多少あります。私の場合、幸い残業代はきちんと支払われます。
入社前は残業をしたくありませんでしたが、入ってみれば残業しないと給料が少なすぎるので進んで残業しています。


その他

Posted by kisaragia