弁理士試験向けゼミについて ゼミは合格への近道なのか?

2022年1月29日

こんばんは弁理士のきさらぎです。

今日は弁理士試験向けゼミについてお話をしたいと思います。
ゼミとはなんなのか?私も受験をし始めの頃はよくわかりませんでした。
レベルの高い受験生の集まりで、質問に答えられないと授業を遅らせてしまい怒られるのではないか?などと怖いイメージをもっていました。

一人の生徒に教える先生

私は結局ゼミに入って、最終合格することができました。
全然最初のイメージと実際のゼミの印象は違くて楽しかったです。
そんな私がゼミをわかりやすく解説したいと思います。

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まず予備校等の講義には大きく分けて以下の4種類があります。

予備校の弁理士講座の種類

①入門講座
大学受験の予備校と同じイメージです。
先生の講義を聞いて、ノートをとったり復習したりして理解を深める講座です。
たいていの受験生が初めに受講します。
教室に通学するパターンとインターネットで動画を見て講義を受けるパターンとDVDで講座を受けるパターンがありました。インターネットの普及と高速化でDVDで講座を受けるパターンはもうないかもしれません。

②短答答練
まず、短答試験の予想問題を解いて、そのあと先生の授業を聞いて理解を深める流れで進められる講義です。
後日に、点数、偏差値、平均点、順位が発表されます。
イメージ的には、大学受験の模試+講義といったところでしょうか?
短答の問題なのでマークシートになります。
また本試験のように特実、意匠、商標の全科目を一度にやるのではなく、週に1科目ずつやっていきます。
なので条約の週があったりして、60問条約の問題をやり続けるという厳しい週もありました。

③論文答練
まず、論文試験の予想問題を解いて、そのあと先生の授業を聞いて理解を深める流れで進められる講義です。後日に、点数、偏差値、平均点、順位が発表されます。
論文なので、記述式になります。試験を解いて答案用紙が回収された後、模範解答が配布されこれに沿って講師が解説を行います。こちらも週に1科目ずつやっていきます。
自宅受験してインターネット講義を見る通信教育もありますが、教室で受けるケースがほとんどです。
教室で受ける際も、同じ教室にいるだけで基本的に他の受験生とのコミュニケーションはありません。
もちろん自分から積極的に話しかければ、この場で仲間を作ることも可能です。

④ゼミ
基本一人の先生につくことになります。
このためほとんどのゼミでは先生ごとに説明会があります。人気があるゼミだと選抜試験があるところもあります。
よくあるゼミの講義スタイルが論文の問題をまず解いて、その解説をするというものです。
ここまでだと論文答練と似ていますが、解説や採点は一般的なものではなく結構先生の個性が出てきます。
できるだけ長く書かなくてはダメとか2枚書けば十分とか、先生によって教え方はバラバラです。
先生は合格するために必要な勉強法、ノウハウをそれぞれ持っていて、独自の授業テキストやカリキュラムを基にゼミを進行していきます。
また先生と生徒の距離が近く、その問題についてどのように考えたのか、どんな論点を解答したかなどを当てられて答える。わからない部分があったら生徒からも質問してみんなで考える。といったもの。
そして論文の解答を他のゼミ生と交換して人の答案をみて添削することもあります。
さらに問答があるゼミもあります。
問答というのは、問題を口頭で聞き口頭で答えるものです。
例えば講師が「秘密意匠の趣旨は?」といって感じで質問を投げ、指れた人が答えていきます。
テンポよく知識を確認できるので弱点の発見や、即座に知識の引き出しを開ける練習になります。

私の考えるゼミのメリットベスト3

1位 ゼミではリアルなライバルができる。

ゼミに入らずに勉強を進めるメリットとしては自分のペースで無理なく勉強を進められる点です。
しかし、数年受からないと孤独を感じてきます。結局本試験は相対評価なので他の受験生がどの程度できているのか?とかその中で自分がどの位置にいるのか?など気になってきます。
ゼミに入ることで自分の位置を確認することができます。
一方でゼミに入ると顔見知りの受験仲間ができることによって、つらい思いをすることがあります。
実際に顔を見て話したことのある仲間(特に自分よりも勉強期間が短い人)に点数で負けたときなどです。
しかしこの点についても、考えてみてください。その人に負けても全くリスクはありません。もともと知らない人だったわけだし、会社や事務所で仕事するときにその人が登場することもありません。
また弁理士試験は1人しか合格しない試験ではありません。むしろ負けてストレスを感じ、悩み、頑張り、競争することがメリットなのです。これは家で独学で勉強していたら味わえない感情です。

2位 一貫した戦略が立てられる。

長年勉強していると、自分の勉強方法が正しいのか?このまま勉強していて受かるのだろうか?と不安になってくると思います。
こうして悩んでいる時間は、多少は必要だと思いますができれば減らしたいものです。
私も、なんとなく不安になってはインターネットでいろいろなブログを見たり、本屋に行って新しい書籍を買ってみたりしていました。(結局最初だけ書籍を読んで、あとはやめたケースがほとんどです。)
この状態は、ベクトルを決めてはちょっと走り、またベクトルを変えてはちょっと走りを繰り返している状態で結局目的地に近づいていないケースが多いと思います。
こんな悩みを抱えたときにゼミが有効なのです。
ゼミには先生によって合格のための明確な戦略があります。
先生がやるべきことを教えてくれます。逆に必要ないことも教えてくれます。
つまり先生がベクトルを定めてくれるので全力でダッシュすればよいことになります。

ところでゼミでは先生の影響力が大きいものです。他の先生と違う戦略がある場合も珍しくありません。
ここで先生のやり方に疑問を投げかけて自分のやり方を再開すると本末転倒です。
自分が信じた先生の戦略に素直に従いましょう。

3位 他人の答案が見れる。

ゼミでは、他人の答案を見ることができる場合もあります。
先生のゼミの進め方によりますが隣の人と答案を交換して答え合わせする場合もありますし、一人の人の答案を題材にして他の生徒に改善点を答えさせる講義もできるでしょう。
優秀答案以外の答案を見たことがありますか?実際は優秀答案ほど完璧に書ける人は多くありません。
合格点を超えた答案でも多少項目が落ちていたり、要件を落としていたり、不完全なものがほとんどです。
自分と同時に解いた他人のリアルな答案を見ることで「ここはほとんどの人が書けているから重要なんだな」とか、「ここはみんな書けていないから自分も書かなくてもあまり影響はないな」といったようにリアルな相対評価対策ができます。
また、論述の仕方も人も答案を参考にしたほうが良いと思います。
短く、漏れなく理解を伝えるには日本語のテクニックが必要です。
こういったところは、自分で考えてもなかなか良いものが思いつかないと思います。
他人の答案を見て、良いものは積極的に取り入れるようにしましょう。

ゼミの入り方

最も多くの先生がゼミを開催している予備校は東京リーガルマインドです。
注意点としては、ゼミは一貫した学習の流れがあるので途中から入ることができません。
たいてい論文試験が終わって少しすると募集の説明会が開催されます。
説明会に行かないと、お金を用意してもゼミに入れてもらえないのでサイトで日程を確認しましょう。
論文試験が終わってホッとしているといつの間にか募集が終わっていたりするので注意しましょう。

小ワザ

Posted by kisaragia